今回は副腎腫瘍の症例をご紹介します。
11歳のチワワちゃんですが、左の頬が腫れているという主訴で来院されました。
口腔内の視診にて重度の歯周病が認められたため、上記の症状の原因と考えました。
全身麻酔下で抜歯をしていく前提で麻酔前の検査を行いました。
特にその他の体調に異常は認められなかったですが、腹部超音波検査で左の副腎と思われる部位に腫瘤が見つかりました。
副腎腫瘍を疑い、CT検査を実施いたしました。
赤で囲まれた部分が副腎腫瘍です。
青で囲まれた部分は大きな血管です。
この症例は左の副腎が大きくなり血管内に浸潤していました。
ここまで浸潤していると外科的な腫瘍切除は非常に難しいと考えられたため抗ガン剤治療で経過を見ているところです。
ちなみに
赤で囲まれた部分が左の上顎の奥歯ですが、やはり顎の骨が溶けて重度の歯周病になっておりました。
副腎のこともあったため、積極的な麻酔下での処置は行わず抗菌剤の投与で頬の腫れは改善してくれました。
無症状でもこれほどの異常が体の中で起こっていることもあるんだと驚きました。
改めて定期的な健康診断による病気の早期発見の重要性を感じました。
獣医師;永松